発酵種を使ったパンは固いという感じでもないのですが、柔らかいパンを期待されている方のニーズには正直合っていないと思います。
私の使っている発酵種は、酵母よりも乳酸菌を圧倒的に多く含んでおり、イーストのような発酵力は期待できず、ある程度焼きこまないと香りが立たないので、みかん酵母の発酵種で柔らかいパンを焼こうとは思っていません。
コンビニやスーパーで市販されている大手のパンは、発酵力のある優等酵母だけを集めたイーストを使っていまして、私が管理している発酵種に比べると、同量比較したときに1,000倍以上の密度で酵母菌が含まれています。
イーストは決して悪者ではないですし、柔らかいパンを焼くならイースト使えばいいじゃないかという考えもあると思うのです。。。
でも、イーストだけで粉を発酵させるのは、あまり面白くないと思ってしまいます。みかん酵母の発酵種でパンを焼いている経験から、酵母以外の菌にも粉を発酵させる魅力を知ってしまったからだと思います。
十分な発酵力を担保して、かつ安定的にパンを焼くためには、市販されている天然酵母を使う方がよいと、今は思っています(みかん酵母の発酵種と、あと数種類の酵母を管理しながらパンを焼くことは可能なのですが、今の自分の実力では、全てをよい状態でご提供できる自信がないということもあります)そこで、来春オープン予定の店頭では、市販の天然酵母を使ったパンも焼きます。
市販されている天然酵母には色んな種類があります。主なところでは、
・ホシノ天然酵母パン種
・あこ天然培養酵母
・白神こだま酵母
・とかち野酵母
という感じでしょうか。
どの酵母も使ったことがあり、個性は違います。個人的に思う一番の違いは発酵時の香りです。中でも、「あこ天然培養酵母」は、あまり酵母の香りがしないのです。
あこ天然酵母の特徴として、同社出版の書籍↑の中では次のように説明されています。
「安定した発酵力と、雑味のないすっきりとした味わいで、ふっくらとしてやわらかい、毎日食べても飽きのこないパンを作ることができます。主原料である小麦の風味を損なうことなく、酵素により、アミノ酸形成された旨みを十分に醸し出す自然の恵みそのままの酵母です」
主原料は、小麦粉・米・麹・酵母菌です。大きな特徴は、酵母菌だけではなく、麹に付着している麹菌が発酵に関わるということです。味わい深い、個性あるパンを焼くために日本の発酵食品(醤油、味噌、酒、酢など)の要である「麹菌」を使うのです。
「あこ天然培養酵母」でより美味しいパンを焼くために、先日、有限会社 あこ天然酵母さんにて研修を受けて参りましたので、一端をご紹介しておきます。
(有)あこ天然酵母さんは、私の生まれ育った東京都の多摩地域にありまして、実家がある日野市の隣、八王子市にあります。故郷で作られている天然酵母を使っているといっても過言ではないかもしれません。
研修は、仕込みと成形焼成で時間が違いまして、仕込み研修は午後2時頃から、成形・焼成は午前3時頃から始まります。めっちゃ朝早いです。
研修初日、厨房に入って、まず目に入ったのは、なんといってもオーブン!!
このオーブン、私が導入するキュウーハンのオーブンです。
全然知らなかったのですけど、あこ天然酵母の社長さんはキュウーハンさんと古くから仕事を一緒にされているようでして、キュウーハンの社長さんとは旧知の仲なのだそう。
キュウーハンのオーブンには、こんな丸い窓がついています。
このオーブンの特徴については書きたいことがいっぱいあるので、また別の機会に書くことにいたしますが、キュウーハンを入れているパン屋さんはそんなに多くはないです。
このオーブンの特徴については書きたいことがいっぱいあるので、また別の機会に書くことにいたしますが、キュウーハンを入れているパン屋さんはそんなに多くはないです。
私が調べた限りでは、愛媛県にはないような。。。気がいたします。
研修は、あこ天然酵母さんの製造スタッフの方と一緒にパンを作りながら進んでいきます。レシピとか、製法とか、新製品のこととか、なんでもオープンに教えてくださって、ますます「あこ天然酵母」を好きになる研修でございました。
1次発酵はこれまでの自分のやり方とは全然違いまして、目から鱗。やっぱり何十年と酵母に携わっている方と、数年の自分とでは違いますよね。。。
あこ天然酵母のコアな部分を学べたので、収穫は大きかったです。
先日、道の駅で「あこ天然酵母」のパンを販売させていただき、とっても好評でした。柔らかいパンも、やっぱり食べたいですよね。副材料にもこだわって、とびっきりの美味しいパンを地域の皆様にお届けいたします。