2017年1月31日

ショートニング

1月23日~1月28日の1週間、パンの研修に参加してきました。主催はパン技術研究所です。大手の製パンメーカーの社員さんも多数参加されている研修です。

この写真の真ん中に移っている方は、井上好文さんという方で、調べてみたらなんと!私の教科書BREADの監修をされているお方でした。。。

井上さんは大変に情熱的な方で、日本のみならず海外を含めた製パン技術に精通されている日本のパン作りの第一人者です。

パン研修は、井上さんの講義から始まります。午前、午後とみっちり製パン理論を学びました。

・なぜパンが膨らむのか
・グルテンとはなにか
・成形による気泡構造の違い
・ショートニング効果
・生地の粘弾性
・パンチが気泡構造に及ぼす影響
・成形と気泡のキメの細かさの関係
・生地改良材(イーストフード)とは何か
などなど

この講座で学んだことは、「パン入門 井上好文著」に書いてありますので、ご興味がある方は読んでみてください。とても勉強になります。



講義の内容と直接的に関係のないことで、
パン研修に参加して、これだけは書いておきたいということを書いておきますね。

それは「ショートニング」についてです。


今回習ったパンの材料には、ショートニングが使われているものが殆どでした。粉量に対して3%~10%位のショートニングが入ってます。

こんなに多くのショートニングを入れるんだと驚いたのですが、それは下記のショートニング効果(窯の中でより膨らむ効果など)を期待してのことです。

「可塑性油脂(ショートニング)は、パン生地中にグルテン凝固物の表面にフィルム上に広がり、グルテン凝集物間のすべりをよくし、生地の柔軟性、伸展性を高める。また焼成工程におけるでんぷんの糊化を遅延する。その結果、ショートニングを配合した生地は、配合しない生地と比較して、作業性、機械耐性、そして、窯伸びが顕著に改善され、ボリュームが高くソフトな触感および食感のパンとなる。このような可塑性油脂の効果をショートニング効果と呼ぶ(パン入門/日本食糧新聞社)」


ショートニングを入れた生地は、確かにしっかりと窯の中で伸びます。自分の手法では上のような高さのあるパンは焼けません。。。同じような効果は、サラダ油のような液状油脂では期待できないそうです。

大手製パンメーカーにとっては、工場で大きな機械を使い、均質で、日本人が求めるソフトで柔らかい食パンを作るためショートニングは必要不可欠な原材料なのです。

スーパー、コンビニで売られているパンの原材料を見ていただければ、ショートニングが入っていないパンを探す方が困難です。おそらく世の中に存在しているパン屋さんの大多数はショートニングを使っていると思います。

ショートニング。。。う~ん


あんまりよい噂を聞かないですよね。
なぜ良くないかといえば、「トランス脂肪酸」が多く含まれているからです。

農水省が調べたデータによれば、ショートニングの最大30%程度がトランス脂肪酸です。
ショートニングは物凄い量のトランス脂肪酸を含んでいるのです。。。

このトランス脂肪酸が入った食品を、アメリカ政府は2018年までに原則禁止すると言っています。ヨーロッパでも規制がかかっています。

日本の農水省はトランス脂肪酸について下記のように言っています。

「トランス脂肪酸については、食品からとる必要がないと考えられており、むしろ、とりすぎた場合の健康への悪影響が注目されています。具体的には、トランス脂肪酸をとる量が多いと、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増えて、一方、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が減ることが報告されています。日常的にトランス脂肪酸を多くとりすぎている場合には、少ない場合と比較して心臓病のリスクを高めることが示されています。」

パンを食べて、悪玉コレステロールが上がり、心臓病のリスクが上がるなんて誰も想像できませんよね。。。アルツハイマーのリスクが上がるという研究結果もあります。


もちろん、スーパーやコンビニのパンを食べたからと言って、すぐに病気になったりするわけではないですし、過剰に警戒する必要はないと思うのですけど。。。


正直ショックでした。。。
なんでこんなにショートニング入れるんだよ!!と思いました。

悲しいです。。。


日本政府はトランス脂肪酸を規制するつもりはないようですし、お菓子や揚げ物など、ありとあらゆる食品にショートニングを使っています。

パン研修で学んだ良いこと色々ありましたし、参加できて本当によかったと思っています。でも、ショートニングについては見過ごせなかったです。これから、製パン業界に携わるうえで、ショートニングは気になり続けるでしょうね。

僕は、パンを焼く型に塗る用にトランス脂肪酸フリーのオーガニックショートニングを使っていました。でも今後は菜種油に切り替えようと思ってます。

2017年1月23日

愛媛新聞(1月23日)掲載

愛媛新聞さんが、先日の小学校での授業の様子を掲載してくださいました。
転載許可がおりましたので、下記に記事をご紹介します。



「みかん酵母で特産パン」平成29年1月23日付愛媛新聞(掲載許可番号:G20180301-037030)

2017年1月21日

上浦小6年生に授業

上浦小学校6年生の総合学習の時間に、上浦町の特産品である蜜柑を使ったパン作りの授業を担当させていただきました。わたくし高校生くらいまで将来は小学校の先生になるのだ!という夢を持っていたので、ちょっとだけ夢が叶った1日でした。

青絨毯のお部屋に集まって授業開始です。生徒18名に加えて、先生が3名、それから校長先生も聞きに来てくださり、さらに愛媛新聞さんも取材にきてくれて、さらにさらに今治ケーブルTVさん、今治市役所の広報部の方まで来ていただいて…なんとも有り難い限りでございました。


授業は黒板に書こうかな〜とも思ったのですが、字が申し訳ないほどに汚いので、パワーポイントで授業をしました。

子供たち最初は緊張した顔で聞いていて、なんだかこちらも緊張していたのですが、少し話しはじめたら段々とリラックスできました。


授業の中では、みかん酵母を実際に見て、匂いを嗅いで、食べてみて、みかん酵母で焼いた発酵種のパンも食べてということで体験できる内容を色々と入れてみました。

「酵母と発酵」の少し難しい話は時間を長めに取って話しました。イラストを使ったり色々としましたけど。。。難しいかな〜、自分も酵母の何たるかを理解したのは最近だもんな〜と思いながらも、関心をもって聞いてくれた子が多かったように思います。質問タイムで酵母について質問する子供もいて、みんなとってもとっても優秀でした。


発酵した蜜柑をビンから取り出して、子供たちに食べてもらったのですが、「腐る」と「発酵」の違いは食べると実感できます。。。去年、酵母作りをしているとき、どんな状態かを確かめるためにドキドキしながら初めて試食したので、そのドキドキ感を少しでも子供たちに味わってもらえたのではないかと。トロッと溶けた蜜柑を食べようとは普通思わないですからね、笑。半分以上の子が食べていました。

青い絨毯の部屋で30分くらい座学をしたら、外に移動して、薪窯の前で授業です。


松山の子供たちが来たときもそうでしたけど、子供たちが窯に集まってくれると、この窯を作って本当によかったなと思います。

窯がどうやってできているのか、どういう仕組みでパンが焼けるのか、薪を使うことでどんなよい事があるかなど話しをしました。


里山を管理しなくなると、竹が繁殖して土砂災害が起こりやすくなることや土壌が海に流出して富栄養化が起こり魚の住みにくい環境になること、今使っている燃料の元(ガスや石油)は海外から輸入しているので、自分たちが住んでいる地域にある木材を燃料として使っていくことの意義などもお話しました。


窯の説明が終わったら、みかん酵母パンの試食です!食べているときが、一番子供たちが楽しそうでした!

今回のパンは完全に新作!です。生地のなかには、くるみ、チョコ、それから上浦産の蜜柑ピールが入っています。子供ウケするように、甘いパンを焼いたと言えばそれまでですが!!!!みんな美味しいって言ってくれたので今回は100点です。

さて、この総合学習の授業、1日だけでは終わらずに、続編が2週間後にあります。次は教室に場所を移して授業です。またその内容は別の機会に。